★ 現代の研ぎ師……2014年10月04日 17:48

 日本刀、大好きである。NHKBSプレミアムの「日本刀に恋して 知られざる研ぎ師の世界 」を観た。日本刀も、日本文化独特の分業により作られる。分業の代表が、浮世絵だが、日本ではあらゆる造作物において、この専門的分業が為されていた。日本刀では、刀匠、研ぎ師、白銀師、柄巻師、鍔師、鞘師、塗師たちが腕を振るった。日本刀は、彼らの総合作業で出来上がるものだが、浮世絵での絵師と同じように、名が残るのは刀匠である。しかし、彫り師、摺り師の技術無くしては浮世絵が存在しないように、研ぎ師の腕無くしては日本刀は存在しない。
 すでに実用品でもなく、身分の証明品でもない日本刀に人生を掛ける人々。そんな中での現代の研ぎ師。こんな世界があるのかと呆れてしまうほどの緻密さを求める仕事。侍が消滅した現在、日本刀は美術品としての存在でしかない。でありながら……との思いもあるが、他の美術品の世界においても同じように、己のすべてを注ぎ込む人たちがいるのである。そう考えれば、彼らの必死っぽい毎日も理解できる。


 で、研ぎだが、この料金が結構、高いのである。何年か前、我が家にある「米澤住直信」(70.2㎝、反り1.8㎝)を研ぎにと考えたことがある。条件を付けない標準研磨で@6,5000.-/寸。直信は、23.2寸なので15万ほどになる。
深錆びや刃毀れが見つかれば、整形研磨、@8,000.-/寸で22万。もちろん諦めた。要するに、この程度の金額にオタオタするような者は、日本刀云々を言う範疇には入らないことになる。神業的な研ぎを観て、高い料金をイヤになるほど納得してしまった次第である。


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